くすんだ街

スグルは、二発目の銃弾が発砲されるよりも先に工場長を殴り倒した。

至近距離では不慣れな銃よりも拳の方が強いようだ。

工場長が倒れるのを見届けると、スグルはすぐさま背後で呆然と立ち尽くしている女性の元に駆け戻ると


「逃げますよ!」


その手を握って走り出した。

その声に、突然の出来事に固まっていた女性がハッとしたようにスグルを見つめる。

縋るような眼差しだ。


「……思い出してくれたの?」


女性の問いかけに、スグルはぎこちなく微笑んだ。