くすんだ街





ドクドクと脈打つ心臓がスグルの体を動かした。

自覚せず、無意識に、体が彼女を庇った。


「この人を傷つけるな」


突き動かされるように口が動いた。
工場長の目が驚きに見開かれる。


「どういう意味です? まさか、私に逆らおうとでも?」


動揺した声で工場長は言い、銃をスグルに向けた。

それを見た瞬間、スグルは工場長に向かって猛然と走り出した。