夜、心を失ったあの日から定期的に行われている工場長との面談をスグルは受けていた。


「今日は、どんな風に過ごしましたか?」
「……街を見下ろしていました」


工場長の問いかけにスグルは抑揚のない声で答える。


「なにか報告するようなことは起こりませんでしたか?」

「なにも起こりませんでした」


面談はいつも同じ質問の繰り返しだった。

そして、スグルの答えもいつも同じものだった。