トウカはゆっくりと少年に近づく。

少年に再び会えた喜びとそれに反して、もう少年が自分のことを覚えていないという悲しみが綯い交ぜになった複雑な心境だった。


「こんばんは」


トウカは思い切って声をかけてみた。

少年は振り返ってトウカに視線を向けてくれたが、それ以上の反応は見せず、また街のほうへ向き直ってしまった。


「……やっぱり私のこと忘れちゃってるんだね」


分かっていたことだったが、胸を締め付けられるような息苦しさを覚える。