くすんだ街

翌日――
変わらないはずの一日はトウカにとっては驚きの一日に変わった。

ずっとくすんでいて同じように見えていた街並みは、どれ一つをとっても同じものはなく、実に多くの色に包まれていた。

トウカは無表情を装いながらも、きっと自分の人生は今日から変わるのだと確信していた。

作業をしている間、トウカはずっと少年のことを考えていた。

一体、いつから彼は自分のことを見つめてくれていたんだろう。

彼は、どうして他の人とは違うんだろう。

昨日、置いて行ってしまったことに怒ってはいないだろうか。

頭に浮かんでくるのは少年のことだけだった。

少年のことを考えると、トウカの心は弾んだ。