くすんだ街

それがきっかけだったとでも言うように、トウカの中にさまざまな――感情と呼ばれるものが流れ込んでくる。

あまりにも唐突な感情の奔流に、トウカは一瞬パニックに陥りかけたが、少年の発した言葉を理解したいという思いが、その流れに身を委ねる覚悟をさせた。

そして、始まった時と同じように、その流れは唐突に遠ざかっていった。

トウカは、しばらくぼんやりと部屋の中を見回してみた。

今までずっとくすんでいた部屋がはっきりと色を持っていた。

それは不思議な感覚だった。

まるで生まれ変わったような――
トウカは、あの少年にもう一度会いたいと思った。

あの少年と一緒なら、もっともっと鮮やかな世界を見られるかもしれない。


トウカは、翌日、作業を終えたら彼に会うことを決意して眠りについた。