くすんだ街

――好きです


少年の言葉が瞼の裏に文字として表れる。

警告の声が小さくなる。

少年に掴まれた腕が熱を帯びてくる。

少年の真っ直ぐな瞳が自分を見ている。


――ずっと好きだったんです


より鮮明な少年の声が全身に響いた。

その瞬間、トウカの目から再びなにかが溢れ出していた。

堰を切ったように溢れ出るそれは、涙と呼ばれるものだとトウカは思い出した。