くすんだ街





自分の部屋についても少年の眼差しが頭の中から消えなかった。


――ずっと好きだったんです


不意に少年の言葉が脳裏に浮かぶ。

忘れたほうがいい。

忘れなきゃ。

忘れろ。忘れろ。忘れろ。

ぎゃんぎゃんと喚きたてるように警告する声がする。

頭が割れそうだ。
トウカは眉根を寄せ、耳を塞ぐ。

しかし、少年の言葉を忘れる事はできない。

警告の声と、少年の言葉が、何度も何度も繰り返される。


「ウルサイ……」


耳を塞ぎ、ギュッと目を瞑ってトウカは呟く。