くすんだ街

「ずっと好きだったんです」


少年が繰り返す。

トウカの中でわけの分からないなにかがじわじわと広がっていく。

トウカは、ハッとなり少年から目を逸らす。

いつのまにか両目から温かい水分が流れ始めていた。

これはいけないことだとトウカは感じていた。


「やめて……」


トウカは小さな声で少年に言った。