僕がピアノを好きになった理由は単純で、 一つの鍵盤を押せば一つ音が出て、 五つ押せば五つ音が出て、 右は高く、左は低く。 和音を押せばきれいな音が出て、 不協和音をだけば面白くて。 単純そうで奥深い。そんな不思議なピアノは 僕を一瞬で呑み込んだ。 最初はもちろん下手だったけれど、 だんだん上手くなっていくのに興奮と快感を覚えた。 僕が完全に音楽の道にはまるまでには時間は必要なかった。