断罪校則

 
 
「残念ですが、君の慕っていた辻先生はもう居ませんよ。――永久にね」

支えを失った身体が、がくりと膝から落ちていく。ああ、寒いな。とても、

「彼は私の大切なモルモットですから」

そう嘯いて、先生の肩に手を置く校長に本気で殺意を抱いた。この手で、殺してやりたい。他の誰でもなく、私が…!

「でも、一つだけ感謝して頂きたい。彼の記憶はそのままにしてあるんです。ですから」

ぽた、ぽた、




「………ユズリ、」

無表情の先生の瞳から溢れる涙。

「彼はとても優秀な人材でしたが、少し正義感が強すぎた」
「…この、悪…魔…」

喉の奥から血の塊が込み上げてくる。

「悪魔ですか?そうかもしれませんね」

皮肉気に肩を上げるクソ野郎を、今直ぐ殴り飛ばしてやりたいのに。意識が遠退いていく。ガタガタと四肢が震える。

「現代では、機械技術が進んでいるだけではないのですよ。医療技術、再生術、それに改造術も進んでいるんです。まあ、特別な薬が必要ではありますが」

黒いジャージでも隠せない程の赤色。

「ああ、そろそろですね。矢木さん」

ゆっくりと近付いて来る校長と、所在なさげに一人佇む先生の影。

「最期に一つだけ良い事を教えてあげましょう。改造をする前にショックを与えると、より効果的に変わる事が出来るのですよ?……彼のようにね」
「…ふざけ、るな、…下種、」

眼鏡を押し上げながら、校長はクッと口角を上げた。

「さあ、共に築きましょう。理想の世界を」

此処で倒れたらお仕舞いだ。此処で意識をなくしたらお仕舞いなんだ。お願いだよ、

「……クソ、が」

暗闇だけが世界の支配者。











侵入者、矢木ユズリ

校長室にて意識不明のち、消息不明。