断罪校則

まるで、スローモーション。

ゆっくりと振り返った先には愛しいあの人。もう二度と逢えないと憂いたあの日の涙が、蘇るように幾筋も頬を伝う。

「……せん…せ、」

感情がぐちゃぐちゃになり、上手く声が出せない。それに、心臓が他人の臓器みたいに。ドクドクと大袈裟に、壊れそうな程に、煩く鳴り響く。

「ユズリ、ごめんな」

ふかふかの絨毯に吸収される足音。

「本当に、ごめんな?」

距離、――ゼロ。

するりと手から、本が落ちた。







「……っぐ、あ゙…な、んで…せんせ」

ポタリ、ポタリ、絨毯の色が濃く染まる。

「だからごめんなって、言っただろ?」

温かい腕の中で、腹部に感じる激痛と。聞きたくなかった冷めた声。

「――ッい゙…」

ポタリ、ポタリ、

勢いを増す血液を止める事が出来ない。何故、どうして?こんな展開になるだなんて、一つも予想していなかった。いっそ悪夢だと、嗤ってくれ。嘘だと、囁いて…

痛みと、絶望と、混乱で。

事切れそうな意識のなか、場違いな拍手が先生の背後から聞こえてくる。

「感動の再会、とはいかなかったみたいですね?矢木さん」
「……こう…ちょう」

睨み付けてやりたいのに、目の霞みがそれさえも拒否をする。非道い、話じゃないか。

「辻君、こちらへ」
「はい」

再び耳に届いた冷たい声。信じられなかった。信じたくはなかった。でも、