「……これ?」
気合一発。気持ちも新たに、校内に侵入しようと鍵の掛かっていない窓や裏口、通気口。どうにか出入口になりそうな場所はないかと、順番に物色をしていた際に偶然見つけたのは小型のパソコン。
壁の一部分は壊され、その中の導線やら何やらと融合されていた。
「恐らく、笹原君の仕業だろう。前に私も忍び込もうとした事があったんだが、夜はセキュリティが厳しくてな」
そこまで言って、矢木さんはパソコンが置かれていた真上の窓に手を伸ばす。
すると、あれだけ頑丈に施錠されていた窓がいとも簡単に開いた。
「ほら、セキュリティが解かれている。笹原君は此処から入ったんだろうな」
「……成程」
「関心してないで行くぞ」
「お、おうよ!」
防火設備用の赤いランプだけが不気味に光る、長い長い廊下。一寸先は暗闇。
ごくりと生唾を飲み下し、意を決して俺は窓枠に手を掛けた。此処を越えれば、もう後には絶対に戻れない。
「―――」
迷いのない矢木さんは既に廊下に降り立ち、なかの様子を入念に窺っている。そうだ、俺も、続かなきゃ。和也だってもう進んでいるんだ。けど、
心臓が、
ズキズキと痛む。警笛が鳴る。
『本当にいいのか?』
そう言って必死で訴えかけてくるもう一人の臆病な自分。それでも俺は、やっぱり。
「……行くしかねえんだって」



