断罪校則

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「あかり、あカり、ごめんネ…」

窓から差し込む温かなオレンジ。その光の帯が照らし出す空間には、今にも止まっていた時が動き出してしまいそうな程、なにも変わらない、当時そのままの部屋。

脱ぎっぱなしの服に、鏡の前で淋し気に埃を被るシュシュ、カラフルなヘアピン、バナナクリップ。開いたままの赤いランドセルからは、夜になったら宿題を見てねと約束した色褪せたプリントが半分。少しだけ端を丸めながら覗いている。

あの日、あの時から、
何一つ変わらない部屋。

唯一、変わってしまったのだとしたら、それは部屋の主の存在。いつまでも待ち続ける健気な四角い箱の中に、待ち人は来ない。絶対に、もう二度と。




『かずくん!ただいまー』

何度も何度も夢を見た。呆れるぐらいに幸せで儚い夢を。叶う事のない幻を。

カチリと響く、金属音。

大きめなラインストーンを鏤めた、宝石箱のようなハート型のオルゴール。あかりが、妹が。殺される数日前の誕生日に贈った最期のプレゼント。か細く奏でる音色は、

彼女が特別好きだった歌。

「……あかリ、」

























――校長室奥、モニタールーム


「こ、校長!ご報告申し上げます!」

薄暗い空間に、幾つもの監視用モニター。乱雑に纏められたケーブル類には躓かないようにして、慌てて飛び込んで来たのは一人の男性教諭。

「何です?ノックもしないで」
「あ、……も、申しわけ御座いません!」

ギイと深く軋む、椅子の音。

「それで、何かな?」
「あ、はい!本日、笹原和也に一つカウントが入りました。それと、苑田亜貴と矢木ユズリが怪しい動きを…」

校長は何もかもを知っているという表情で、黙って椅子から立ち上がり、――そして、