断罪校則

笑った方が可愛いのに。

そんな失礼な事を思いながら、もう一度写真に目を落とす。ああ、でもやっぱり此の笑顔とは比べ物にならないな。

自然で、和やかで、幸せそう。


「……この人が先生?」

堪らず、訊いてしまった。

よくよく考えなくても不躾な質問だったと思う。それでも矢木さんは目を逸らす事なく話してくれて。

「ああ、そうだ。この人が私の…っ、」

けれど、

如何しようもなく声を詰まらせたその震え、表情、所作。全身から醸し出される哀の意が、言葉の続きも、心情も。語らずとも直接、注ぎ込まれてしまった気がした。

本当に大切な人だったんだ。和也にとってあかりちゃんが全てだったように、矢木さんにとってはこの人が全てだったのだと。

「苑田君、」

名を呼ばれ、心成しか心拍数が上がる。

「今日、君を此処へ連れてきたのには理由がある」
「…理由」

薄々、気付いていた。なにも知らない、解らないただのバカじゃあない。ガキでもない。

「先生、校則、そして笹原君の事」

どくり、

再び激しく動き出した心臓が伝えるのは、恐らく己への最終警告。なんて、もう。全部決まってる。俺の気持ちはただ一つだけ。

「君は、君達は深入りし過ぎた。いや、巻き込むつもりはなかったんだが。結果的には私が巻き込んでしまったようなものだ」
「っ!…そんな事は!」

掌で視界を遮られ、息を呑む。

「苑田君、覚悟はあるか?これから話す事を聞けば、きっともう逃れられなくなる。それでも聞く覚悟はあるか?」

そう、ただ一つ。

「ああ、勿論だ」

揺るがない覚悟と共に、強く応えた声に。迷いなんて微塵もない。