断罪校則

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「適当に座っててくれ」

そう言って矢木さんは、鞄だけをソファーに放り投げると。脇目も振らずに奥の部屋へ消えて行ってしまった。

「適当にって言われても」

正直、女の子の部屋なんて落ち着かない。そりゃ、人並み程度には入った事があるけど、全部友達としてだったし。和也と一緒に、とかもあって全然緊張はしなかっ…

そこまで考えて頭を掻いた。

白と黒で統一された飾り気のない部屋。造りはやはり豪華だけど、敢えて余分な物は排除したといった感じで、なんというか、生活感がない。綺麗過ぎて違和感を感じる程だ。ミニマリスト、とかいったっけ。

「はあ~、俺には無理だな…」

そんな中、ふと目を奪われる物があった。

それは写真立て。





「……笑ってる?」

その写真立ての中に収められている写真には、今より少しだけ幼い顔の矢木さんと、長身細身の爽やかな笑顔が眩しい、若い男性とのツーショット。

もしかして、この人が…


「私が笑っていると気持ちが悪いか?」
「?!」

後ろから突然声をかけられ、古典的な表現で申し訳ないけど。口から心臓が飛び出すかと思った。いやマジで。

今度は何を言われるのだろうかと、恐る恐る振り向くと。視線の先には上下ジャージというラフな格好をした矢木さんが、腕を組みながらジッとこっちを見据えていて。

「なんだ、君は失礼な奴だな」

言葉の最後に、少しだけ微笑んでくれた。