断罪校則

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数日後、


犯人は呆気なく捕まった。

笹原家から一キロも離れていない、地元で有名な金持ちの一人息子。普段は好青年で通っていた彼の凶行に、素性を知る近所の住民達はみな一様に驚いていた。

なんで、あの子が。
どうして、あそこの家の子が。

一部では、あかりちゃんを悪く謂う人まで出てきていた事を俺は知っている。近所の住民のみならず、憶測で伝える無責任な報道番組や週刊誌、新聞。

そして、最も厄介なのはインターネット。SNSや匿名掲示板では、それはもう好き勝手に書かれていた。好奇心、悪意、妄想。

>父親が居ないからこうなるんだ。
>母親と兄貴の所為でもある。
>躾けが出来ていない。
>どうせ、毎日夜遅くまで遊び回ってたんだろう。

なんでだよ。お前らがあかりちゃんの。和也の、おばさんの、何を知ってるんだよ。全部、見て来たのか?傍で、毎日、三人を見て来たっていうのかよ。ふざけんな。

>貴重なロリが(´・ω・`)
>つうか、ビデオねーの?
>ぶっちゃけ見たいww
>あかりちゃんは処女だったんですかねえ
>最近の小学生は育ってるからなあ

下卑た遣り取り、ふざけているのか、愉しんでいるのか。当事者の気持ちなんて二の次。いや、当事者じゃないからこそ出来るのだろう。そうでなければ余りにも苛酷だ。



『続いてのニュースは、笹原あかりちゃん殺害事件の――』

連日、あかりちゃんの事件は大きく取り上げられ拡散されていく。

あかりちゃんの愛らしい容姿がお気に入りなのか、毎日、毎日、何処で手に入れたのやら新しい写真を仕入れてくるワイドショーには怒りの感情しか湧かない。誰が、提供したのだろうかと考えると反吐が出た。

どうして、被害者の顔写真や名前、家の周りでインタビューする映像や家族構成に過去まで、全部。なにもかも晒されるのに、犯人の人権は護られるのだろう。

――未成年。

たったこれだけの理由で、顔は勿論名前すら世間には公表されず、優秀な弁護士を与えられ護られていく。そう、あかりちゃんを殺した犯人はまだ十八歳だった。

昔から何一つ変わらない『少年法』という理不尽なものに、笹原家は。あかりちゃんは、負けたのだ。なにより、――二度殺された。




和也は確実に病んでいった。

それでも漸く、何年も掛けてようやく普通の生活が送れるようになっていたのに。

それなのに、