「つか、マジで校則厳しすぎじゃね?!」

先日配られたばかりの真新しい生徒手帳を閉じ。俺、苑田亜貴は声を荒げた。

「いやいや、私立だしこんなもんでショ?」

へらへらと隣で笑うこいつは、幼なじみの笹原和也。腐れ縁も此処までくると流石に気持ちが悪い。と、今はそんな事を言っている場合ではなくて。

既に校則違反対象である、遅刻をしそうな俺達は小走り気味に校門をくぐった。

ひらひらと舞う桜の花びらが、少しだけ鬱陶しく感じる。毎日、毎日、まるで監視をするかのような目で見てくる教師達にも。

入学して数日、俺達は既に小さな不信感を胸に抱いていた。




――私立聖堂高等学校

金さえ払えば割と誰でも入れると、ある意味で有名な学校。入ってしまえばこっちのもんよ!なんて、軽く考えていた事を少しだけ後悔した。

この学校は何かオカシイ

校則が厳し過ぎると思えば、妙な所は緩かったりもする。茶髪にピアスはセーフ。しかも、バイトは申請さえ通れば遣り放題ときたもんだ。

校長曰く、

「髪の毛を染める事、装飾品を付ける事は個性です。アルバイトも社会勉強の為に、進んでおやりなさい。ただし、夜間のものは禁止ですよ?」

無駄に広い体育館で、和也と共に呆気に取られた事を今でも覚えている。こんな学校ありかよ。普通、髪を染めたりピアスをあけたりする方が咎められるんじゃね?と。

それに、幾らなんでも

「垢晒しってのは酷過ぎじゃん?!なんもできねえわ!なんも呟けねえわ!」

辛うじて遅刻を免れる事が出来た俺と和也は、席に着きながらも会話を続けた。主に、俺がギャンギャン騒いでるだけだけど。

「まーネ。バイト禁止で良いから、そこは勘弁って感じかな?」
「だろ!?しかも校長室に近づくなとか超絶胡散臭えし…って、あ゙?」