断罪校則

『先輩がネ、口を滑らしてくれたんだケド』
「……お、おう」

『矢木さんの指輪、アレは先生からのプレゼントらしいよ』

先生からのプレゼント。

音には出さず、唇だけで形を作って復唱した。もう一度。何度でも。納得のいくまで。そうして遅れてやってくる驚きに目を見開く。

『利用しない手は、ないよネ?』

にこりと笑う和也の底の知れなさを確信しながら、俺は思った。こいつだけは敵に回したくないと。つうか、回しちゃいけない。

『まあ任せてよ。口、上手いみたいだから』
「おっす!よろしくお願いシャース!神様、仏様、和也大先生サマー!」

そう言って思わず敬礼をすると、画面の向こうからは無邪気な笑い声が返って来た。


俺達は、

一体どこで何を間違えてしまったんだろう。少なくてもこの時の俺達は幸せだった。幸せだったんだ。

『だいぶ遅くなっちゃったね』
「そーだなあ。そろそろ寝るか?」

些細な事で笑って、普通に交わせる会話が楽しくて。二人で、向き合ってた。

『ウン、また明日学校で』
「おう!ンじゃまたな」

「……オヤスミ、亜貴」

ぶつりと無遠慮に落とした電源の先で。

お前はどんな顔をしていたんだろうな。俺達は一体どこで何を間違えてしまったんだろう。如何して、気付けなかったんだろう。


クルクル、
クル狂ル、

運命の歯車は、狂っていく。