断罪校則

そんな俺の心の葛藤を知る由もない和也は、少し困ったような顔で前髪を弄り。選ぶようにして言葉を紡いでいく。

『……実はサ、話を教えてあげた代償にって、先輩に迫られて』
「は?」

『や、エッチしようっテ』

椅子から転げ落ちなかった俺を、どうか褒めて頂きたい。あと、叫ばなかった事も。

『ズット無理ですって拒んでたんだけどネ。先輩、いきなり抱き付いてきて』
「ふぁッ?!」
『股間、まさぐりだすし』
「ほげッ?!」
『ゴムも用意してるよとか言ってきて』
「……oh」
『首にキスマーク付けてこようとしたから』
「…し、したから?」

ごくり、生唾を飲み込む。

幾ら俺達の学校に厳しい校則があろうと、あくまでプライベートの出来事だし?おまけに相手は彼氏に振られたばかりの傷心の身。しかも年上のお姉さま。と、くりゃあ…




『俺、亜貴が相手じゃないと勃ちませんよって。言ってやったんだよネ』

一瞬の、間。

『そしたらサ、先輩そのまま首に噛み付いて来て、……て、ちゃんと聞いてル?』

画面の向こうでは、和也が手を振りながら「いやー、でも反応しないように素数数えたり歴代総理の名前を思い返したり結構大変だったんダヨ」とかなんとかほざきやがっていますけれど。生憎、

完全放心状態の俺の耳には届かない。

『……はは、やっぱり拙かったカナ?』

ごめんねと、舌を覗かせウインクするその可愛らしいモテ仕草の憎さ烈火の如く。


「か、か、和也のバカヤローーー!」

綺麗な月が浮かんでいる静かな夜に。童貞の悲痛な叫び声が轟いたのは、言うまでもない。というか察して、どうぞ。