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ガリガリと。

割と心配になる音を立てながら起動するパソコンに、大丈夫かよ突っ込んで。でもまあ機能的には問題ないっぽいなとお気楽に構えた。

デスクトップのショートカットアイコンからお目当ての通話アプリを立ち上げ、後は相手の反応を待つ。


『アーキー、繋がってル?』

画面の向こうから手を振る和也に、壊れてなかった事もそうだけど。なにより顔を見れた事の安心感にホッとした。やっぱり、電話よりこっちで正解だな。

「バッチリ繋がってる」
『音声も映像も、問題ないね』
「だな」
『俺も久しぶりだから、ちょっと不安だったんだヨ。うん、ダイジョーブ』

にこっと歯を見せて頬杖をつく和也も、必要最低限の確認が出来たらしい。二人揃ってピースをし、前のめりに画面に近付いた。

『じゃ、始めますか』
「おおよ!てか、首どうした?」

「――あ」

目敏く見付けてしまった首筋の赤い痣。

本題から逸れてしまう事は解っていたけど、どうしても気になってしまって。だってあんな痣、学校で別れた時にはなかった。って事は、別れた後に出来たんだよな?

『アー、コレも話せば長くなる訳ヨ』

そう言って和也は苦笑いを浮かべ、バツが悪そうに首筋を掻いた。

「なんつーか、歯型みたいだな?」
「……ゔ」
「え、歯型?マジで?」

俺の言葉に、更に和也は困ったような顔をする。おお、レアな表情だこと。

『ま、まあ。後でゆっくり話すからサ。忘れない内に本題に入るよ?』
「…あ、了解っス!」

なーんとなく解ったような、解らないような。体よくはぐらかされた気もするけど。