「それと、これ」

 君がカバンからチョコレート取り出す。

 その時、見えてしまった。

 もうひとつ、綺麗にラッピングされた箱。

 それもチョコレートなんだろうか。

「義理チョコな!」

 言いながらチョコレートが入った包みを僕に渡す。

「そんなはっきり言わなくても」

 それよりも、さっきの箱が気になって、聞き出したくてたまらない。

「あとな、今日、一緒に帰れない」

 その言葉で全てを悟った。

「うん、わかった、じゃあ明日な」

「うん、明日!」

 君に手を振って歩き出す僕。

 笑顔で振り返す君。

 僕の初恋が静かに終わった。