名もなき傍観者

向日葵は家に帰ることにした。


本当は徹也とホテルに泊まっていきたかったのだろうけど、というかそんな心の声が聞こえてきたのだけど、向日葵は父親のことを気にかけたようだ。


徹也もそれを止めるようなことはしなかった。
徹也と別れ、少し駆け足気味で家路を抜けた。


「ただいま!」


「おかえり、ひまり!」


リビングから向日葵を迎える明るい声が響いた。それだけで向日葵はちょっぴり幸せな気持ちになったようだ、家族のあるべき姿というのはやはりこうなのだ。


「わぁ〜なんかいい匂いする。」


「今日は父さん料理してみました!」


えっへん!とドヤ顔を披露した後に慶三は料理をテーブルに運んだ。


「え、これ本当にお父さんが作ったの?」


「俺以外に誰がいる!」



「レトルトじゃなく?」



「完全に手料理だッッ!!」



「すごい!美味しそう!わたし、お腹ペコペコ。ねぇ、食べていい??」


「ちゃんと手洗うんだぞ。」


洗面所にいき手を洗い終えるとバタバタとテーブルについた向日葵。
向かいに座る慶三。


「いただきます!」


「いただきます!」