名もなき傍観者

徹也はいつになく真剣な表情で、
話を始めた。


「あの日の事覚えてるよな。」


あの日のこと?なんの事だ?
ボクの記憶にはない。


「忘れるわけないよ。」


ひまりも普段では見れないくらい真剣な……というより気持ちが沈んだような低い声で答えた。


「きっと忘れるなんて無理だよな。俺あの日からずっと後悔してる。」


「私もだよ。夢に出るんだ。その度に泣いてる。」


「でもさ、俺、これからもひまりを守ろうってあの日から誓ったんだ。遅かったかもしれないけど。ひまりのそばにずっといたいと思った。なんとなく恋愛に対して臆病だった俺が本気になれた瞬間だったんだ。」



「てっちゃん……。」



そして、
徹也はゆっくり深呼吸をして、
ひまりを目をしっかり見つめながら
決意を、想いを、
言葉にした。






「ひまり、結婚しよう。」