名もなき傍観者


「てっちゃん、私、今日は頑張るから。」


「うん、俺も優しくするから。でもホントにやばかったらやめてもいいからな。」


ホテルの一室にて。
二人は抱き合っていた。


向日葵は覚悟を決めていた。


向日葵にとって、これは乗り越えなきゃいけない一つの壁なのだ。


「ひまり?」


「……いいよ。ひと思いにやっちゃって。」


「いや、ひまり?」


「え、どうしたの?私なんか変だった?」


「ひまり震えてる。怖いんだろ?」


「うん、怖いよ。でもね、てっちゃんのこと、てっちゃんの気持ちちゃんと受け止めたいから。」


「わかった。じゃあ、ヤる前にちょっと話をしないか?」


「うん、いいけど。」


今にも事が始まりそうな体制から、
徹也は体制を変えて起き上がると、ベッドの上に座った。

ひまりも起き上がり、シーツを体に巻いて徹也の隣に座った。