名もなき傍観者


激しい音が聞こえる。



「ぐあぁぁぁッ!?」










悲痛の声を上げたのは、


なんと____________鉢屋だった。




今まで散々動きを読まれ続けていたが、鉢屋の最後のストレートを徹也は読んでいた。
ドンピシャのタイミングで、肘を使ったガード。
徹也の肘は鉢屋の拳を砕いた。


「ぐっ!くそがァァ」


拳を砕かれた痛みで、一瞬ひるんだ瞬間を徹也は見逃さなかった。



「オラァァァ!!!」


徹也の猛ラッシュ、反撃の暇を与えないほどに連打連打連打連打……。


徹也無双モードに為す術もなく、攻撃をもらい続ける鉢屋。


最後、左頬に綺麗に決まった右フックは鉢屋を壁に叩きつけた。


相当のダメージ量を食らった鉢屋だが、さすがは幹部か、カッと意識を戻して徹也を睨みつける。




「なんやワレェ、これを狙っとったんかい、、、」


「ボカスカ殴ってくれやがって、おかげで立ってるのもやっとだ。でもお前が最後に利き腕で俺の顔面を狙ってくるのは分かってた」


「やられてるフリして絶好の機会を待ってたっちゅーわけか。とんだペテン師やなぁワレ。……だが最後に笑うのは俺や」


男4人を相手にし、鉢屋との殴り合いで虚ろになっていた意識では、背後から忍び寄る影に徹也は気づけなかった。


「てっちゃんッ!危ないッッ!!」


とっさにひまりは叫んだが、もう遅かった。


ゴッと鈍い音を立てて、
徹也は地に倒れた。
頭から血が流れ向日葵の足元に伝う。



「いやぁぁぁぁッ!てっちゃんッ!しっかりしててっちゃんッ!」



「わりぃ……ひまり…油断した」



鉢屋は立ち上がりタバコに火をつけながら言った。



「爪が甘ぇよ。これはタイマンじゃねぇんだよ。どんな手ぇ使おうが最後に立ってた方が勝ちだ。でもなかなか良い筋してるなぁワレ、どうやウチに入らねぇか??」



目だけはしっかりと鉢屋を捉えて、徹也は言った。



「入るわけねーだろ。てめぇらみたいなチンピラと一緒にすんじゃねーよ。」



「アァ?なんつったコラ?」



「何回でも言ってやるよ………」





徹也は言った。







「てめぇらみたいなチンピラの集まりと、狭間組を一緒にすんじゃねーよ。」