「そんな方法あるんですか?」



「ああ、あるとも。世の中にはね、一気に稼げる仕事なんていくらでもあるんだよ」


ひまり!これは罠だ!!
そんなやつに耳を貸すな!!



ボクの声は届かない。



「どんな仕事ですか?」



「少し体を張ってもらうけど、簡単な仕事さ」



「体を張る……」



一瞬で不安がよぎり、ひまりは自分の体を抱え込んだ。
ダメだひまり!!甘い言葉に騙されるな!!!クソ!届けよボクの声ッッ!クソォ!!!


「お父さんのために頑張れるかな?」



鉢屋のその言葉に、向日葵は自分の心に暗示をかけはじめた。



(これはお父さんのため…)


ダメだ!ひまり!!!



(これはお父さんのため……)


ひまりッッ!オイッ!やめろ!



(これはお父さんのため………)



「お金を返せるなら、私やります。」



ひまり………。ダメだ………。
そんなことしちゃ…。



「いい返事だ。おいッ。木村ぁ。ちょっと実践してやれ」


木村がここぞとばかりに勢いよく前に出る。


「いいんすか!?こいつやっちゃって!?ガキだけどなかなか良い体してんなぁって思ってたんすよねぇぇぇ。」



「えっ…実践ってなんですか……」



向日葵の表情が変わる。



「実践は実践だよ。本番だよ。ハメ取りモノは高く売れるんだよお嬢ちゃん。」