「肩代わりだぁぁぁー!?」


下っ端が吠える。ぼくコイツ嫌いだなぁ。熱くなりやすい下っ端と真逆に、冷静なのは茶色スーツの男だ。


「お嬢ちゃん、本気で言ってるのかな?その場しのぎで言ってるんだったら、僕らもね、さすがに………」

「本気です!!!」

茶色スーツの男の言葉を遮るように、ひまりは強い口調でまっすぐに答えた。


「ガキがナマ言ってんじゃねーぞ!!!あん!!?」


「おい、木村ぁ、ガキに凄むなって言ってんだろうが」

茶色スーツの男が鋭い目つきで下っ端(名前はどうやら木村らしい)を睨む。


「す、すんません。でも、鉢屋のアニキぃぃ。こんなガキじゃ何もできませんって。」

茶色スーツの幹部らしき男の名前は鉢屋(はちや)というらしい。

「俺が話すから黙ってろ。」

「…はい……。」


鉢屋の静かだが奥底から湧き出るような威圧感に、ただただひまりは息を呑んでる様子だ。


「お嬢ちゃん、ちなみに額は分かるかな?」


「額……」



「そう、君のお父さんがウチの組から借りてる額だよ」



「100万円くらいですか?」


高校生のひまりの頭の中で100万はすでに大金だ。純粋に答えたのだろうけど。


「残念。それの20倍だ。」



「え!?…に……にせん…まん……」



2000万。高校生が手の届く額ではない。
ひまりの表情は絶望している。


「君に払えるのかな?」


鉢屋は静かに笑いながら言った。


「…すぐには用意できませんが、必ず用意しますので」


「どうやって?」



「……それはこれから考えます。」



ひまりは本気で悩んでいる様子だ。





鉢屋は言った。


「君でも半年あれば2000万稼げる方法があるとしたら?」