向日葵は恐る恐るドアを開けた



「はい……どちらさまですか?」




「やっぱいるんじゃねーかぁッッ!!!!…んっ?」



予想とは違う人物の登場に、一瞬とまどった様子の男。




「お前、水野慶三の娘か??」




「はい、水野ひまりといいます。し、知ってます……お金のことなら。今すぐには用意できませんが、あの…働いて必ず返すので今日のところはどうか……」




震える声でがんばって誠意を伝える向日葵。



「あぁ!?ガキが用意できる額だと思ってんのかぁ!?」




凄む黒スーツの下っ端に、向日葵は「ひっ」と肩を竦めた。怯えている。




「おい、ガキにいちいち凄むな!」



茶色スーツの幹部(らしき男)が、下っ端を制する。



「……す、すいません」




茶色スーツの男がひまりにゆっくり近づく。



「なあ、お嬢ちゃん。」



「は…はい。」



「お父さんは中にいるのかな?」




「あの…お父さんは体が弱いから、話なら私にしてもらえませんか?」



「そうは言ってもそれはできない相談だよお嬢ちゃん。金を借りたのはね、君のお父さんなんだから。そのお父さんがお金を返さないならお父さんに話をしなくちゃいけない」





茶色スーツの男は、なるべく向日葵を恐がらせないように、かつ平坦な口調で冷静に圧力をかけていく。





「だったら、私が肩代わりします」