帰りのホームルーム終了。



「ごめん、今日は急ぐから。先帰るね、じゃあね!」


「なあ、ひまり!」


帰ろうとする向日葵を呼び止める徹也。


「てっちゃん、なに?」



「お前、元気ないだろ?」


「えっ!?べ、別に、全然普通だよ」


「俺には分かるんだよ」


「……ははは。すごいなぁ。てっちゃんはエスパーさんなのかな。」


「ああ、エスパーだな。ひまりだけに使える力だ」


「うん……でもね、これは私が解決しなくちゃいけないことだから。だから私がんばるよ。頑張って乗り超えるよ。」


「ひまり、俺はお前の味方だ。時には頼ってくれてもいいんだからな」


「ありがとう。てっちゃん。」


「急いでるのに呼び止めてごめんな。また明日な」


「うん、また明日ね!」


泣きそうになるのを堪えてるのが分かった。徹也に対抗するわけじゃないが、ボクもひまりの心が分かる。

顔を見られないように、駆け足でその場を後にした。
ひまりの心の中は不安で満ちていたが、徹也の言葉がそれを包む。




徹也の存在は向日葵の心のバランスを左右するほどに、とても重要なものに思えた。




時々、向日葵と感情がリンクする。
この現象はなんなんだ。
ダメだダメだ、ボクは傍観者なんだから。