名もなき傍観者

次の日。



向日葵はいつも早起きをする。
学校に行く時間を考えてもここまで早く起きる必要はない。
向日葵にはやることがある。


父親を起こすこと。
起きた時に記憶がなくて混乱する父親をなんとか抑えること。
父親の名前、記憶喪失のこと
自分の名前、関係性、今までの生活
などの必要最低限のことを教える。


「はじめまして」


毎日それの繰り返しだ。


「はじめまして」


何度も、、


「はじめまして」


何度も、繰り返す。



向日葵はいつものように笑って見せた。



「私はあなたの娘です。」