「イノマタカズヤさんを、ご存知ですね?」

カズヤ?

カズヤが、何をしたの?

「昨日の午後十時頃、警察に電話をくれました。
犯人は、あなたじゃないかと」

あたしは息を抜きながら聞き返す。

カドワキの言葉が全く理解できないのだ。

彼は、と、カドワキが言った。

「彼は、あなたが空き地で何かを埋めたのを、目撃してしまったそうです。
気にかかり、その後あなたの住むアパートの近くであなたを待ち伏せしていた、と。
そしてあなたの病気のことを、話してくれました」

嗚呼、そうだったのか。

アヤねぇの家へ着いたとき、あたしの手は土まみれだった。

カズヤとコンビニで逢ったとき、妙に優しかった。

嗚呼、そうだったのか。

「あなたは昨晩、イノマタ家で晩御飯を食べましたね?
そのときに使ったフォークと包丁の指紋が一致しました」

嗚呼、そうだったのか。