七月二十五日。
今日はなんて、不運な日なんだろう。
スバルが殺され、自分が病気だと言われた。
人間という生き物は不思議で、此処まで墜ちてしまうと、次に自分が何をするべきかを頭できちんと整理できるのだ。
昨晩はスバルが部屋を出ていっただけで、気が狂いそうだったのに。
あたしはカズヤに分厚い教科書を一冊借りて、スバルの遺体へ逢いに行くことに決めた。
カズヤは車で送ると何度も言ってきたが、断った。
本当の最期ぐらいは、自分の足でスバルに逢いに行きたかったし、そうじゃなきゃいけないような気がした。
あたしはユウコさんには何も言わず、彼の家を後にした。
これ以上心配や迷惑をかけるわけにはいかなかったし、母親にスバルの存在を知られたくなかったから。
あたしは湿気の多い夏の空気を感じながら、冷たくなったアスファルトを歩いた。