月下美人が堕ちた朝

あたしはカズヤの言葉がイマイチ理解出来ずにいたが、早く帰りたい一心で了解した。

「恋人のフルネームと年齢は？」

占い師のような質問に、あたしは思わず吹き出して笑った。

だけどカズヤの表情は相変わらず深刻で、あたしは笑いながらスバルの本名と年齢を答えた。

「スバルくんの免許証の写真、見たことある？
どんな髪型だった？」

あたしはこの質問に、的確に答える。

二年前に免許を取得したばかりの頃のスバルは、今と違って少年さが写真に写っていたから、あたしは気に入って何度も何度も眺めていたのだ。

黒髪で、少しだけ長めの後ろ髪が可愛かったのを覚えてる。

するとカズヤは、頭を抱えながら、低い声でお経のように喋り始めた。

「今朝のニュースでも気になってたんだ。
だけどまさか違う人だと思って…。
でもテレビに映ってた写真と、さっきのラジオと今の質問で確証した。
それから…実はお前が今日の昼頃、空き地で…」