月下美人が堕ちた朝


着信はとっくに切れていたが、あたしは驚いた。

そこには「着信20件」と「Eメール12件」の文字。

思わず声をあげると、カズヤが言った。

「さっきから三分置きぐらいに鳴ってた。
早くかけ直してやれよ」

あたしは着信履歴を見て、更に驚く。

そのほとんどがフミカで、それ以外はスバルが勤めていたホストクラブからの着信だったからだ。

頻繁に大学で逢うフミカからの電話は珍しい。

恋人と喧嘩でもしたのだろうか。

それとも、スバルから別れたことを聞いたのだろうか。

どちらにしても、今のあたしにフミカと話ができる余裕なんてない。

あたしはフミカにかけ直さず、スバルが無断欠勤したであろうホストクラブの番号を着信拒否にした。

スバルは緊急連絡先として、あたしの番号を経営者に教えていたのだ。

もう、関係はない。

メールを開くと、一件はアヤねぇからだった。