あたしは断った。

九時三十分まで営業している薬局で、妊娠検査薬を買いたかったからだ。

だけどこんな理由で断ったら、ますます話がこじれそうな気がして、体調が悪いから、と何度も言った。

「良いから座れ。
ホントに大事な話なんだよ」

優しいカズヤにしては強引だった。

あたしは渋々その場に座り、カズヤも勉強机からフローリングへ移動した。

自分のバッグから携帯電話の着信音が聞こえる。

勿論、スバルではないのは分かっている。

カズヤは目で出るように合図をし、あたしはバッグを自分の方に引き寄せて携帯電話のディスプレイを見る。

フミカだ。

フミカとは確か、一週間前に学食で一緒に菓子パンを食べながら、スバルの話をした。

ホストを辞めて欲しいとか、散々スバルの相談をしたのに、フミカは言った。

「スバルと出逢ったのはあたしのお陰だから、プリン奢って!」