「ここに来るのは構いませんが、周さんまで変な噂が立ちますよ?」

「俺、別に噂なんて気にしねぇし」

「でも………」


ますます眉間のしわが深く刻まれた。

そんな彼女の頭を軽くポンポンと叩くと。


「ご迷惑でなければ、私が作りに行きますよ」

「へっ?」

「というより、奥さん(俺の母親)が作るのを手伝います!」


意外な提案に呆気に取られてしまった。

けど、冷静に考えたら意外といいかも。

うん、マジでいい!!


「お前、料理出来んの?」

「バカにしないで下さい!こう見えても、我が家では私が主婦で母が稼ぎ頭ですから」

「………なるほどな」


小さい頃から仕事をしていた母親の代わりに、家事をこなしていたというわけか。


「なら、お袋には俺から話しておく」

「ご気分を害されませんかねぇ?」

「その点は多分大丈夫。下手したら、商品が夕食って事もあるし、インスタントの日もあるから。基本、働く事が好きな人だから家事は二の次だし」

「………そんな風には見えないです」

「まぁ、気が向いたらでいいから」


俺は、彼女の意外な一面を知って、不思議な感覚に陥っていた。