見慣れた景色。
夜の街は好き。
煌々と灯るネオンは、私の淋しさを紛らわしてくれる。
小さい頃から夜の街で育ったせいか、こういう夜の繁華街を怖いなんて思えない。
下町の商店街が、人情に溢れているなら……。
夜の繁華街は、傷付いた心を包んでくれる。
数時間だけでも、夢を見させてくれるそんな世界。
中にはあくどい事をしてるお店もあるけど、母の店は違う。
仕事で疲れた人を癒し、心が折れそうな人を包み込む。
そして、また明日を生きる為の気力を補う事が出来る場所。
私はそう母親に教わって生きて来た。
すっかり顏馴染みの呼び込みのお兄さんに挨拶しながら、母の店を目指す。
鞄から店長から貰ったパンの袋を取り出し、無意識に笑顔になる。
まだ開店前の『CLUB 泉』と書かれているドアノブに手を掛けると。
「んッ?!」
いきなり背後から腕を掴まれた。
恐る恐る振り返ると、



