周さんは、私のプライベートの部分に土足で入り込んで来た。


うちが母子家庭なのは、面接で話したからヨシとしても。

それ以外の事に無遠慮に入り込んで欲しくない。



偶然にも、倉田先生と話してる所を見られていたようで。

彼は完全に誤解してる。

だって、倉田先生と私が援助交際?

……ありえない。

あんなにも親切で温厚で、気配りの出来る人はいない。



倉田先生は母の同級生。

学校での接点は殆ど無いけど、去年の夏にあった同窓会で再会したらしい。

その時に自分の娘が通ってる学校の先生だと知り、父親がいない娘を案じて話しかけたそうだ。



私の父親Alain(アラン)は、留学で来日していたそうで、ビザが切れて自国に帰ってしまったそうだ。

母は17歳という若さで身ごもり、親の反対を押し切って私を産んだそうだ。

勿論、父から教わっていた住所を頼りに訪仏したらしんだけど、その住所はでたらめで、結局今日まで一度もあってないそうだ。


それでも、初恋の人を忘れられない母。

彼の名前から『蘭』という名前を私に付けた。