その2人の後ろには、先程女と買い物に出た男。

さっきのいでたちとは少し違う。

ベストを着て、蝶ネクタイをしている所を見ると、あの店の黒服なのかもしれないな。


ママさんらしき女性の話に頷く倉田先生。

……どう見ても、違和感にしか思えない。


学校の先生が生徒を迎えに来たなら、あんなにも優しそうな表情はしないだろう。

しかも、倉田先生とママが親しい所を見ると、初対面では無く面識があるように思える。


この店の常連?

だから、あの女とも親しいとか?


謎は深まるばかり。



結局、女は倉田先生の車に乗り込み、店を後にした。



「帰るか」

「………だな」


ケンに促されるようにして、俺は家路に着いた。






翌朝(土曜日)

いつも通りに早朝から仕込みを手伝い、いつも通りに朝食を済ませる。


普段なら、さっさと3階の自室に上がるところだが、今日は1階の事務所で過ごす。

準備は万端、いつでも来い!


あの女が出勤して来たら―――――。