校門を出て、ケンと肩を並べて歩いていると。


「シュウの毒牙に掛かる子が、また1人増えたな」

「……だな」

「お前、そのうち……腹でも刺されんぞ」

「そん時は、そん時でしょ」

「お気楽なもんだな」


ケンも結構モテる。

身長は俺より少し低いが、ワイルド系な顔つきがそれを感じさせない。

毛先をワックスで遊ばせ、ムスクな香りを纏う……オスの代表。

小学校からの付き合いだけど、俺の本性を知っても離れて行かなかった唯一の存在。


ケンには3つ年上の彼女がいる。

遊んでそうに見えて意外にも硬派な奴で、その彼女とはもう2年くらい付き合っている。


別に羨ましいとは思わない。

1人の女に拘る理由も分からないし、束縛されるのも正直面倒。


見た目で判断するようなヤツに、心の中まで踏み込んで欲しくない。

俺の外見で選ぶなら、俺も外見で選ぶまで。


男と女なんて、そんなもんだろ。