4つの歳の差は大きい。


種と呼ばれるパン生地を捏ねるのも、ある程度の体力がないと続かない。

翔はパン作りには興味が無いようで、中学に上がっても厨房作業を覚えようともしない。


俺がどんどんと厨房作業を覚える姿を見て、もしかしたら手を引いてるのかもしれないが、本当のところ、翔が何を考えているのかは分からない。


いつしか、俺は早朝の仕込みを、翔は帰宅後の接客をするようになっていた。



俺は調理器具がある棚から必要な分のボウル等を手に取る。


「なぁ、親父」

「ん~?どうかしたか?」

「これ洗ったの、お袋じゃないだろ」


手にしたボウルが、見違えるほどに綺麗に磨かれている。


お袋が洗うと、必ずと言っていいほど生地の残りカスが付着してたりするんだ。

親父がそれに気付くと、さり気なく洗い直ししてくれてたりするんだけど。


お袋は、店だけでなく家事もあるから、親父はその辺り大目に見てるらしい。