「莉那ちゃんって言ったっけ?」

「あっ、はい!」


莉那は俺の顔を見て、頬を赤く染めている。

まぁ、見るのはタダだからね?

じっくり見ればいいさ。


「付き合うって言われても、俺、キミの事……名前以外知らないし、いきなり付き合うとかは……ねぇ?」


俺は如何にも的な視線を向けて、彼女の好意を煽り出す。

すると、


「あっ、そうですよねっ!じゃあ、お友達からでもっ!!」

「友達?」


フフッ、まんまと引っ掛かりやがった。

俺は真っ黒な腹を完璧な笑顔でフェイクして、莉那に1歩近づく。


「じゃあ、連絡先教えて?暇な時があったら連絡するから」

「あっ、はいッ!!」


俺が携帯を取り出すと、嬉しそうに鞄から携帯を取り出す莉那。

『暇があったら=ヤりたい時』っていう暗黙のルールも知らないで。


連絡先を交換し終えると、似非王子スマイルを振り撒き、彼女の頭をポンと一撫で。


「気を付けて、帰んなよ?」


………女の心を掴む事を忘れない。