廊下の突き当たりにある保健室の前にあの女がいた。

保健室のドアを半分ほど開け、その隙間に立っている。


朝から保健室に駆け込む生徒なんて稀だから、偶然視界に捉えた事に驚きを隠せなかった。

だって、あんなにも必死になって探していたのに……。

導かれるように目にする事が出来るなんて。


保健室に行く事なんて滅多にない。

だからこそ余計に“運命”的なモノを感じた。


俺がここまで女を気に留める事なんて無かった。

別に一目惚れとかそういう感情じゃないけど、とにかく気になって仕方が無かった。

それは、今でも同じ。


だって、養護教諭と親しそうに話している。

しかも、女は紙手提げ袋を手渡した。


――――告白?

それとも、既に………恋人?


すると、養護教諭が女の頭をポンポンと叩いている。

傍から見たら、まるで禁断の恋人同士だ。


2人の雰囲気がそう思わせる。

生徒と教諭という関係以上だと。



どう見ても、俺には普通の関係には見えない。