結局あの女を見かける事無く、自宅近くの最寄駅に到着してしまった。


「お久しぶりで~す」

「シュウくん、相変わらずイケメンねぇ~」

「ケンの方がイケメンっすよ~?」

「あっ、それは知ってる」

「……ですよねぇ~?相変わらず凜華さん可愛くって、ケンには勿体ねぇ~」

「アハハハッ」


駅前のロータリーに、ケンの彼女が車で迎えに来ていた。


「シュウ、じゃあ、また明日な?」

「おぅ。凜華さん、運転気を付けて」

「ありがとうねぇ。じゃあ、またねぇ」


大学3年の凜華さん。

可愛い系の顔で、性格も良い。

社交辞令的な言葉をかけてくれるが、彼女の目にはケンしか映ってない。

だから、あんな風に俺を褒めるような事を言っても、ケンは俺に対して嫉妬する事も無い。



2人を乗せた車が颯爽と走り去って行くのを見届け、俺はスマホをチェックし始めた。


受信メールは5件。

当たり障りのない返事を4人に返し、残りの1人に色好い返事をする。


ヨシ、今日のシンデレラはめぐみちゃんに決定!




俺は彼女と待ち合わせの場所へと向かった。