膝の上でギュッと両手を握りしめてる蘭。
そんな彼女の顎をクイッと持ち上げ、視線を絡める。
「お前、俺に言ったよな?」
「…………へ?」
「本当に好きな子が出来た時に辛い想いをするのは、俺だからって」
「…………あ、はい」
自分で言った事を思い出したようだ。
途端に恥ずかしくなったのか、視線を逸らした。
「だからだよ」
「え?」
「蘭の言う通り、好きな子が出来たから、そいつの事を大事にしたくて距離を取った」
「っ………」
俺の言葉に肩をビクッと震わせる蘭。
恐らく、思い違いをしている。
俺が好きな子の為に、それ以外の女は眼中にないから、否定も肯定もしなかったと。
だって、明らかに肩を落とし、再び俯いてしまった。
世の中、さっき言った俺の言葉で『もしかして、私のこと?』と勘違いする女も多いのに。
蘭はそんな風な思考を持ち合わせていない。
だから、自然と惹かれたのかもしれない。
俺が持っていない感情を持つ………彼女に。
「蘭」
そんな彼女の顎に再び指を掛け、少し強引に俺の方へ顔を向けさせた。



