「ご飯でも………どうですか?」
コートのポケットに突っ込んだ腕を掴まれた。
「何?………誘ってんの?」
今日はクリスマス。
しかも、今は21時を回った所。
帰る気満々の男を呼び止めたら、どういう事になるかくらい分かるよな?
俺の質問に視線を泳がせる事で応えた蘭。
もしかしたら、返答する言葉が見つからないだけかもしれない。
だけどさ、いつの間にかスヌードを取ってたみたいで。
さっきまで隠れていた所が、見事に真っ赤に染まってんだよ。
そんな顏見たら、兄貴心が一瞬でどこかに吹き飛ぶじゃねぇか。
だけど一応、最後の逃げるチャンスは与えないとね?
だって、俺はもう『女遊び』はしないって決めてるんだから。
「もう遅いし、疲れてんだろ。ゆっくり休めよ」
う~ん、我ながらにさらりと言えたな。
如何にも兄貴面で通そうと、俺も必死だ。
だって、掴まれてる腕が僅かに震えているから。
空いてる方の手を彼女の頭にポンと乗せ、
「おやすみ」
優しい声音で囁いた。
すると――――――。



