玄関ドアを開けると、
「上がってもいい?」
「……はい」
「お邪魔しまーす」
玄関に入ると、漸く私の腕が解放された。
だけど、どこか淋しく感じるのは………やっぱり、彼の事が好きだからだよね。
この家の住人よりも先に部屋の中へ足を進める彼。
ちょっとおかしな光景に、思わず笑みが零れた。
「おいっ、早く来いよ」
「あっ、はい!」
慌てて彼のもとに駆け寄ると、
「お前んちって凄ぇーな」
「へ?」
「何か、セレブみたい」
「はっ?」
「いや、何でもない」
多分、部屋の造りの事だと思う。
不景気なご時世だけど、結構うちの店は繁盛してる。
お陰様で、今ではお金に苦労する事は無くなった。
「適当に座ってて下さい。今お茶を淹れますね?」
「あっ、気遣わなくていいから」
彼を尻目にキッチンへと向かった。
初めて、この家に人を入れた。
それが周さんだという事が、この上なく嬉しい。
私は無意識に緩み出す頬に手を当て、倖せを噛みしめていると。



