モテKingのターゲット



リュウさんは後片付けをして、厨房へと戻って行った。

事務所に取り残された私。

何とも言えない淋しさが込み上げて来た。


本当は『お先に失礼します』ってスタッフに挨拶に行きたいけど、今の状態じゃご迷惑にしかならない。

帰りの挨拶は、店先から手を振る事にしよう。


一気に意気消沈した私は、溜息を零しながら帰り支度をした。



いつもより2時間も早い帰宅。

店の外側からガラス越しに中を覗く。


夕方のちょうど忙しい時間帯なのに、私1人抜けただけで何も変わっていないように見えた。

もしかしたら、私がいなくても困らないのかも……。

それはそれで、切ないよ。


あんなにも必死に頑張ってたのに。

もしかしたら、私は賃金泥棒なのかもしれない。


“火傷”というアクシデントのお陰で、私は不必要にネガティブになっていた。


重い足取りで駅に到着した。

いつもなら、仕事上がりの達成感と爽快感で家に帰るのが楽しみだったのに。

今は、家に帰るのも嫌。

こんな沈んだ顔をママには見せられない。


はぁ……今日は厄日だなぁ。


溜息駄々漏れ状態で電車に乗り込むと――――。