モテKingのターゲット



流水で冷やした患部を手当てする為、リュウさんと事務所に移動した。


「……すみません、ご迷惑をお掛けして……」

「何、しおらしくなってんの」

「だって……」

「パン屋の厨房にいたら、火傷はつきもの。俺なんか、鉄板にジューって当てた事もあるし、スライサーで指を切り落としそうになったこともあるし」

「ホントですかッ?!」

「あぁ。……ほら」


リュウさんは白衣の袖を捲り上げて、皮膚が焼けて爛れた痕を見せてくれた。

それを見て、ほんの少しだけ心の枷が弱まった気がした。


それでも、やっぱり不安になる。

厨房修業初日に火傷って……。

もしかしたら、二度と厨房には入れて貰えないかもしれない。


『女』というだけでもハンデを背負っているのに、使いものにならない私なんて必要とされないかもしれない。


薬を塗り終った患部を見たリュウさんが、小首を傾げ始めた。


「ランちゃん、その髪下ろしてごらん?」

「えっ?」

「いいから、下ろしてみて?」

「あっ………はい」


アップにしていた髪を下ろすと、